子どもの本

アライバル―新世界へ ショーン・タン 作品を語る

Arrivalオーストラリアのイラストレータで絵本作家のショーン・タン氏が来日し、講演会が開催されます。

孤独や不安、自己存在の意味などを問いながら、人生に秘められた美しさ、世界への驚き、人々の築いてきた歴史の1ページなどを確かな筆力で物語るタン氏は、絵本の新たな可能性をひらいた功績を認められ、2011年度アストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞しています。
日本でも、絵だけで展開する『アライバル』がベストセラーになり、この10月には『遠い町から来た話』が刊行される話題の作家がたどりついた新世界とは?

JBBY国際講演会 「こどもゆめ基金」助成事業
”アライバル”―新世界へ ショーン・タン 作品を語る

日時:2011年10月22日(土) 午後6時開演 午後5時半開場
第1部 The Lost Thing上映
     ショーン・タン氏講演
第2部 ショーン・タン氏x柴田元幸氏 対談
場所:津田ホール(JR千駄ヶ谷駅すぐ)
料金:1000円

※氏名(ふりがな)、住所、電話番号を明記し、ハガキ、
FAX、メールのいずれかで下記までお申し込みください。
info@jbby.org
JBBY事務局「ショーン・タン講演会」係
162-0828 新宿区袋町6番 
FAX: 03-5228-0053
http://www.jbby.org/

本年度アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞したアニメーション作品The lost thingも合わせて上映するというぜいたくな一夜。
どうぞお見のがしなく!

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<あしたの本>プロジェクト チャリティーオークション原画展のお知らせ

PhotoJBBY(日本国際児童図書評議会)、日本ペンクラブ子どもの本委員会、日本出版クラブ、JPIC(出版文化産業振興財団)の4団体が、被災地の子どもたちの読書環境復旧を支えようと「子どもたちへ<あしたの本>プロジェクト」を立ち上げました。地元の要望を聞きながら、これから移動図書館バスを被災地で巡回させていきます。

その活動の一環として、子どもの本の作家やまんが家が提供してくださった250点あまりの作品のチャリティーオークションを開催中です。
どんな作品があるか、現在の入札価格はいくらかは、こちらのページで見られます。
※8月にかけて被災地でも原画展示を行うため、入札締め切りは8月末に延長されるもよう。

そのオークションの原画展が、次の日程で開催されます。

7/2(土)3(日)  ゲートシティ大崎 ゲートシティホール
7/4(月)~13(水)  玉川高島屋S・C
7/16(土)~18(月祝)  金沢市文化ホール<親と子の絵本ワールドinいしかわ> 
                ※一部展示
7/22(金)~31(日)  イオンモールKYOTO

1万円から入札できますので、お気に入りの作家の作品があればとてもラッキー! 

大崎会場では7月2日(土)に、かわいい移動図書館車のおひろめがあり、午後2時からチャリティー講演会「作家が語る被災地と<あしたの本>」が開かれます。
IBBY会長、角野栄子さん、柏葉幸子さん、斎藤純さん、里中満智子さん、中村敦夫さん、森絵都さんという豪華な出演者。
申し込みに間に合わない方は、当日直接会場でもOKだそうですので、ぜひぜひお運びください。

7月3日(日)には、「おはなしでてこいトントントン♪」と題して、午後1時、2時、3時、4時に、読み聞かせと紙芝居のイベントがあります。
たいこをたたくのは、ナント、翻訳家のさくまゆみこさん! 
親子で楽しみ、原画をゆっくり見るのもいいですね。

もりだくさんの原画展、お近くの方、どうぞお運びください。


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多文化に出会うブックガイド

201103_06_37_c0003637_2154319『多文化に出会うブックガイド』
世界とつながる子どもの本棚プロジェクト編
読書工房
本体価格1800円

本書は多文化に関する本、655点(シリーズを含む)を紹介した画期的ブックガイドです。オールカラーで、なんと、全点表紙写真入り。

全体は次のような3部構成です。
1、多文化社会を生きるための本棚
アーサー・ビナードさん、関野吉晴さん、さくまゆみこさんなど、各分野で活躍中の方々の、それぞれの経験にもとづいたメッセージとともに、関連する本を紹介しています。
アイヌ、沖縄、韓国など、国内の多文化状況も扱い、多文化をさまざまな角度から切り取った、とても示唆的な部分です。
2、異文化と出会うための本棚
世界を8つの地域に分けて、それぞれの地域性や文化がわかる本を紹介しています。各地域の冒頭には、地域ごとの特色を切り口にしたブックトークも。
3、多文化理解のためのナビゲーション
実際に多文化にかかわる現場で活動している方の実践報告を集めています。

実は、私もこのプロジェクトの一員として、3年前から話し合いを重ねてきました。
特に中南米の箇所で紹介したDVDを含めた46タイトルは、「日本ラテンアメリカ子どもと本の会」のメンバーで書誌を分担しています。
英語圏の視点ではなく、ラテンアメリカの独自性を押さえ、これほどまとまった形で愛情をこめて、ラテンアメリカに関する児童書が紹介されたのは、これがはじめてではないかと思います。

小学校、中学校で、外国のことを学習するときの本選びにも、大いに役に立つでしょう。復刊への望みもかけて、絶版の本も掲載していますので、それらは公共図書館からとりよせてご覧ください。

世界とつながる子どもの本。ついつい下向き、内向きになりそうな今だからこそ、このブックガイドを参考に手にとってみてほしいです。

学校の先生、司書教諭の先生、読書指導員、公共図書館の方、外国に興味がある方、外国人支援にかかわっている方々……、ぜひぜひご活用ください。

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せかい子ども音読大会2011

_page001_2在日外国人の子どもたちにも、読書の輪を広げていこうという動きのあるJBBY(日本国際児童図書評議会)で、3月に楽しいイベントが開かれます。名づけて、せかい子ども音読大会2011-とどけよう!ことば―。

集まった子どもたちみんなで、声を出して詩や物語の一部を読んでみようというもの。特別ゲストとして谷川俊太郎さんがいらっしゃいます。
参加申し込みは、2月10日まで。

日時: 3月13日(日)12:30~16:00
場所: ゲートシティホール
  東京都品川区大崎1-11-1 ゲートシティ大崎B1階
  (JR「大崎駅」南改札口より徒歩3分)

対象: 小学1年生から中学3年生
定員: 30名

●申込方法
名前(フリガナ) 年齢 性別 住所 電話番号
を明記のうえ、下記あて先まで、はがき、FAX、メールにて応募して下さい。

《あて先》 
〒162-0828 新宿区袋町6番 JBBY事務局
TEL: 03-5228-0051
FAX: 03-5228-0053
info@jbby.org

詳しくはこちらを!

12日、13日には、ゲートシティにて「子どもの本まつり」が開催されており、私たちのグループ「日本ラテンアメリカ子どもと本の会」のラテンアメリカの子どもの本の展示もあります。
関心のありそうな方に、どうぞお知らせください。


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IBBY世界大会に参加して 

むすびめの会(図書館と在住外国人をむすぶ会)の会報「むすびめ2000」73号2010.10に、9月のIBBY世界大会に参加しての所感を書きました。以下、転載いたします。
むすびめの会では、さまざまな情報発信もしています。ご興味のある方、ホームページをご覧ください。
http://www.musubime.net/

IBBY(国際児童図書評議会)はご存知ように、子どもの本を通じて平和な社会をつくることを目的に1953年にイエラ・レップマンによって設立された組織です。2年に1度の世界大会には、加盟する72の国や地域から人々が集まります。今年の9月8日から12日まで、第32回世界大会がスペインのサンティアゴ・デ・コンポステラ(以下サンティアゴとする)で開催され、私もそれに参加してきました。

スペインでは、スペイン語のほかに3つの言語が公用語とされています。全国で通じるスペイン語のほか、カタルーニャ地方やバレンシア地方ではカタルーニャ語、バスク地方ではバスク語、ガリシア地方ではガリシア語が話されています。使用の割合はというと、たとえば2008年の書籍出版点数の比率が、スペイン語が77.8%、カタルーニャ語が13.9%、バスク語が1.9%、ガリシア語が2.3%という具合です。
今回の大会が、スペインの中でも少数言語のガリシア語が話されている、サンティアゴという都市で開かれたこと自体、大会テーマ「マイノリティの力」を象徴しているといえるでしょう。
「社会はマジョリティ(多数派)に支配されているが、社会を変える力、内的活力を持っているのはマイノリティ(少数派)である」として、マイノリティの力の価値をみなで確かめあい、世界の民族の共生へとつなげようというのが、「マイノリティの力」という言葉であらわされた今回の大会の趣旨でした。

実を言うと、私がIBBYの世界大会に参加するのはこれが初めてでした。スペインで開催されると知ってから、参加してみたいと思っていましたが、絶対に行こうという決め手となったのは会長のパトリシア・アルダナ氏の存在でした。カナダにある多文化、多言語の児童書出版社の代表であるアルダナ氏は過去来日されていて、2007年国際子ども図書館で「多文化社会における児童書・児童サービス」と題する講演を行っています。在日の中南米の親子が読むようなスペイン語と日本語のバイリンガルの本を作るすべがないかと考えていた私たち「日本ラテンアメリカ子どもと本の会」のメンバーは、2009年の夏にアルダナさんが再来日されたとき、直接氏とお話をする機会を得ました。その際、文化出版に関する経験と深い考察に魅せられ、この大会にぜひ参加しようと決心したのでした。

5日間の大会のすべては報告しきれないので、特に心に残ったものについて記しますがスペイン語の発表に偏ることをお許しください。まずはアルゼンチン出身の識字教育の第一人者エミリア・フェレーロEmilia Ferrero氏の基調講演。言葉の違いは識字の障害にならない例を示し、書き言葉を手渡す大切さを論じました。子どもの本というと、日本では楽しむものという意識が強いですが、大会中にきいた実践報告では、ブラジル、ボリビア、コロンビア、ガーナ、インドなど世界各地で、本を手渡すことが識字とつながり、識字が貧困や暴力という悪の連鎖からの脱出の手がかりとなっていることが伝わってきました。フェレーロ氏の講演は、多くの活動の理論的なささえになっているようでした。

マヤの昔話をスペイン語や英語で書き起こしている、グアテマラ人のビクトル・モンテホVíctor Montejo氏の講演も心に残りました。幼いころから母親が語るお話を聞いて育った氏は、大人になってから自分を同一化できる物語の大切さを知るようになり、マヤの文化を消さない抵抗の手段として、昔話を書き残し続けているそうです。

フランスの社会学者ミシェル・ペティトMichèle Petit氏の報告も興味深いものでした。思春期の2年間をコロンビアで過ごしたぺティト氏は、1990年代にはパリ郊外の移民などマージナルな子どもたちの読書活動を研究テーマにしてきた社会学者ですが、1998年にジュヌビエーヴ・パット氏の誘いでメキシコに行ったのがきっかけで、アルゼンチンなどラテンアメリカの読書推進活動に深くかかわるようになりました。アンデス地域で、アイマラ語で風の詩を書かせた例などを紹介し、「読書と出会うことで、危機にある子どもたちは、より生きやすい場所を見つけることができる」「読書は、自分自身の芸術の小屋を建てるようなこと」と力強く語りました。スペイン語で出版されている4点のペティト氏の著作を、今後日本でも紹介していけたらと強く思ったものでした。

もうひとつ、とても印象的だったのが、移民の子どもたちと字のない絵本を読むという活動を疑似体験するワークショップです。ショーン・タンのThe arrival と、デイヴィッド・ウィズナーの『漂流物』(BL出版)の1場面を見せ、思ったこと、感じたことを口頭や筆記で表現させるというもの。第二言語を未習得でも参加でき、字がないことで、こう読むべきではという考えに縛られず、子どもたちが自由に発言できるようだった、自分の体験と重ね合わせながら、回を重ねるごとに積極的に表現しようとするようすが見られたなどの所見があげられていました。この活動はスペイン、イギリス、アメリカ合衆国、オーストラリアの4か所で同時に行われましたが、どの国でも子どもたちはよく参加し、表現した内容には共通点が多かったそうです。これは日本でも、多国籍の子どもたちが集う場での読書活動への、一つのヒントになる気がしました。

大会では、参加者全員にPartes de un todo/Parts of a whole/Partes dun todo (「みんなで一つ」とでも訳せるでしょうか)というブックリストが配られました。文学や図書館が多民族を受け入れる多文化の場となることを願ってまとめられたリストで、読書推進を目的とするスペインの財団が、合衆国の図書館員の協力を得て選んだ132点のスペイン語、英語、ガリシア語の本が紹介されています。この資料は以下で公開されていますので参考にしてください。 http://www.fundaciongsr.es/salamanca/Partes_de_un_todo.pdf

IBBY朝日国際児童図書普及賞を受賞したガーナのオス子ども図書館基金の活動もすばらしく、子どもの本をめぐって世界がつながっていることを実感した5日間でした。

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スペイン児童文学作家エリアセル・カンシーノ来日講演会

現代スペインのYA文学を代表する作家で、『ベラスケスの十字の謎』(徳間書店)の作者であるエリアセル・カンシーノ氏が、この10月に来日し、東京と京都で講演します。
11月に翻訳出版される『フォスターさんの郵便配達』(偕成社)や自作に託した思い、自らの文学体験、スペインの中高校生と読書の現状、スペインの児童文学界のようすなどを、たっぷりと語ってくださる予定です。
めったにない機会です。子どもの本の読者、届け手、作り手の方、スペインに興味をお持ちの方など、みなさま、どうかふるってご参加ください。

■JBBY国際講演会「10代の文学と私」
日時:2010年10月25日(月) 14:00~16:00
   (13:30開場)
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター
    アクセス
センター棟310室
定員:100名
参加費:1000円
通訳・聞き手:宇野和美
主催:JBBY(社団法人日本国際児童図書評議会)
http://www.jbby.org
申込 電話かファクスかメールにて
TEL: 03-5228-0051  FAX: 03-5228-0053  info@jbby.org
※終了後、サイン会あり

■『フォスターさんの郵便配達』出版記念講演会
  (同時通訳あり)
日時:2010年10月26日(火) 19:00~
場所:セルバンテス文化センター東京
    地下1階 オーディトリウム
進行:宇野和美
入場無料・要予約 (メールか電話にて)
info@cervantes.jp  TEL: 03-5210-1800
主催:セルバンテス文化センター東京
※終了後、サイン本販売の予定

■「スペインの扉を開こう -10代の文学と私」
日時:2010年10月28日(木) 10:00~12:00
場所:「ひと・まち交流館 京都」
    3階 第5会議室
定員: 50名
参加費: 800円
通訳・進行:宇野和美
問い合わせ:シロノ TEL:075-724-3037
主催:京都市子ども文庫連絡会
※終了後、サイン会あり

スペインの児童文学作家が日本に来て一般向けに講演をするのは、私の知る限り20年来なかったことです。カンシーノさんの魅力を十分に伝えられるよう、スペインの児童文学もおもしろそうだなと思ってもらえるよう、万全の態勢でのぞみますので、どうぞご期待ください。
なお、『フォスターさんの郵便配達』の正式刊行は11月。内容は、こちらの偕成社ホームページからどうぞ。このブログでも後日あらためて紹介します。
偕成社からは、10月にスペインの人気作家ラウラ・ガジェゴ・ガルシアのデビュー作『この世のおわり』(松下直弘訳)も出版になります。合わせてどうぞ。

10月25日(月)のJBBY国際講演会のチラシが私の手元にありますので、配布してくださる方がいらっしゃいましたら、pedidos@miranfu.com までご連絡ください。

多くのみなさまのおこしを、心からお待ちしています。

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「フランスのアニマシオン -子ども図書館の実例から」

この春『フランスの公共図書館60のアニマシオン―子どもたちと拓く読書の世界』(ドミニク・アラミシェル著/教育資料出版会)を翻訳なさった辻由美さんと、フランスでのアニマシオンを実際にご覧になってきた佐藤凉子さんの講演があります。

テーマ:~本との楽しい出会いをひろげる~
「フランスのアニマシオン -子ども図書館の実例から」
講師:辻由美(翻訳家、作家)・佐藤凉子(読書活動コーディネーター)
日時: 2010年8月1日(日) 13:30~16:45 (開場13:15)
場所: 東京芸術劇場 大会議室 
http://www.geigeki.jp/access.html
参加費: 児図研会員500円 一般1000円
申込方法: FAXまたはEメールまたはハガキで、氏名、連絡先、会員/一般の別を連絡
(先着100名)
申込先: 児童図書館研究会東京支部事務所
  〒158-0087 世田谷区玉堤1-7-17-304
  FAX: 03-3705-3092
  Eメール: PEG01776@nifty.ne.jp

読んでくれない!と嘆いていてもはじまらない。
フランスでは図書館、学校、児童館、博物館などで、子どもたちを本や文化財にいざなう楽しい刺激的な試み=アニマシオンが行われています。フランスを何回も訪れて、その社会的背景と現場を取材してきたお二人に、その報告と実演をしていたただきます。質問時間もたっぷりとりました。 (パンフレットより)

「アニマシオン」という言葉は、もともと普通名詞。animacion a la lectura(読書へのアニマシオン)は、広義では、読書推進のすべての活動を言います。また、lectura(読書)は、leer(読む)という動詞の名詞形。本を読むという意味の読書だけではなく、「読むこと」全般を指しています。今回のこの講演が扱うのは、この広義のアニマシオンです。
サルト著『読書へのアニマシオン 75の作戦』が提案する狭義のアニマシオンと、この広義のアニマシオン。その意味範囲の違いをふまえて、豊かな読書環境づくりに役立っていくといいと思っています。
フランスの図書館活動は、やってくる利用者へのサービスだけではなく、黙っていたら来ない潜在利用者への働きかけも含んでいて興味深いです。「待ち」の活動だけではなく、「外に出る」という発想の転換、これから日本でもキーになっていくのではないでしょうか。
ご興味のある方、どうぞお運びください。

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講演「子どもの本から世界を見る(ラテンアメリカ編)」

実践女子大学図書館学過程で、ラテンアメリカに関する子どもの本について講演することになりました。多文化教育や多文化支援の視点からのお話です。

テーマ: 子どもの本から世界を見る(ラテンアメリカ編)
日時: 2010年7月2日(金) 10:45~12:15
場所: 実践女子大学(日野市) 4館432教室
講師: 宇野和美・伊香祝子
※公開講演会なので、どなたでも参加できます。(無料)

これまでの翻訳体験や、ラテンアメリカに関するおすすめの子どもの本リストづくりの経験をもとに、ラテンアメリカを知るための子どもの本(スペイン語圏だけではなく、ブラジルも含みます)についてたっぷりとお話したいと思っています。

全国におおぜいいる中南米とつながりのある子どもたち。「日本の子どもたちと、在日の中南米出身の子どもたちがいっしょに楽しめる」というのもポイントの1つ。アメリカで出ているバイリンガルの本も紹介する予定です。
今年度このテーマでの講演は今のところほかに予定がありませんので、ご興味のある方、どうぞご参加ください。

詳しくは大学ホームページで。

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アフリカの鼓動 絵本原画展

長野県安曇野市にある絵本美術館森のおうちで、上記の展覧会が始まりました。

アフリカの鼓動 絵本原画展
『アフリカの音』『エンザロ村のかまど』沢田としき絵
「アフリカを読む、知る、楽しむ 子どもの本」展
会期:2010年5月21日~7月13日
場所:絵本美術館 森のおうち (詳しくはHPを!)
http://www.morinoouchi.com

『アフリカの音』は、陶製の額も1点1点沢田さんの手作り。今この絵本を読み返すと改めて、飾りけのない引きしまった文と力強い絵からあふれだす生きる喜びに圧倒されます。『エンザロ村のかまど』は、マーカーの表現の深さを実感させられる作品です。

長編ファンタジーの表紙絵展も同時開催で、『指輪物語』(寺島龍一絵)、『クロニクル千古の闇』シリーズ(酒井駒子絵)が展示されます。
7月4日にはさくまゆみこさんの講演も。

アフリカ子どもの本プロジェクトおすすめの本を集めた「アフリカを読む、知る、楽しむ 子どもの本」展は、はじめての長野。
お近くの方、どうぞお運びください。
私もどこかでちょこっと行きたいな。

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文化を伝える―

先日このブログに書いた、世田谷文学館で開催中の「石井桃子展」に、今日ようやく行ってきました。行ってほんとうによかった!

詳しい系譜の展示のあと、出版順に本や原稿、あとがきなどの文章、その本にまつわるエピソードなどが紹介され、そのどれにも着実で真摯な姿勢が表れていてため息の連続でした。改訳された本は、旧版に入れられた朱筆も展示され、推敲の過程も見られました。

特に印象深かったのは、どの作品を訳すときにも、適切な人にわからない点を問い合わせていること。質問項目の綿密なメモ書きと、薄紙にタイプされた先方からの返事の数々。
翻訳家というのは、何もかもわかる人なのではなく、わからない点を確実に自分で把握し、それを的確な人物にたずねることのできる人なのだという思いを強くしました。
すぐにわかったつもりにならないこの姿勢は、言いかえるなら、原著者を常に大切にし、テキストを前に常に謙虚で素直であることのあかしではないでしょうか。

そして、展示の中で、一番印象に残ったのは次の文章。

さて、この九年間、子どもたちが本を読んで喜んだり、喜ばなかったりするところを見て考えさせられたことは、子どもが読んでおもしろく、おとなにも――ただし、このおとなは、心を開いたしなびていないおとなでなければならない――おもしろいのは、児童文学といっていいらしく、子どもだけがおもしろがって、おとなにはおもしろくないのは、ちょっと警戒してよく――これは、文学でない場合がしばしばあるから――おとなにおもしろくて、子どもにおもしろくないのは、文学かもしれないが、児童文学ではないだろうということだった。
(『石井桃子集7 「”リアリズム”の大切さ」67~68ページより)

文学とエンターテインメントを分けたとき、今の子ども向けの本はエンターテインメントにかたよっている気がします。文学的な作品をすすめようとすると、本を手渡す場にいるおとなまでが、「今の若い人は、こんな本は喜びませんよ」とか「そんな優等生みたいな本ばかりすすめたってダメですよ」と、けむたがることがしばしば。
でも、それだけでいいのかなという疑問が、私の中にはあります。
それなら、どうやって文化はうけつがれていくのでしょう。私たちが紙に書かれた言葉で伝えるべきものは、それだけなのでしょうか。
上記の文章を読んで、児童文学のあざやかな定義にはっとさせられ、このところ、胸にひっかかっているそういうことを思い出しました。
場内で再生されていたテレビ番組の中で石井さんは、子どもたちに世の中の美しいものを手渡していきたいと語っていました。石井さんにとって児童文学は、その美しいものだったのでしょう。願わくば私も、もっともっとこの児童文学というものを追いかけていきたいという気持ちになりました。
100年間、ずっと前を向いて歩いた石井さん。あらためて合掌。

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